禅思想を短い語句に凝縮したものが、いわゆる「禅語」といわれるもの。
禅語の解釈は、時に類似した語句において相反する解釈がされる場合もある。
茶道のお稽古で茶碗や茶杓の銘に使ったり、
茶席の掛軸やビジネスでのコミニュケーションツールとして活用してください。
- 【 一帯雲 】(いったいのくも)
- 【 一ニ三 】(いちにさん)
- 【 雨餘香 】(うよかんばし)
- 【 我逢人 】(がほうじん)
- 【 活人剣 】(かつじんけん)
- 【 雁一声 】(かりいっせい)
- 【 看脚下 】(かんきゃつか)
- 【 閑古錐 】(かんこすい)
- 【 帰去来 】(ききょらい)
- 【 喫茶去 】(きっさこ)
- 【 旦古今 】(こうここん)
- 【 黒漫漫 】(こくまんまん)
- 【 主人公 】(しゅじんこう)
- 【 自灯明 】(じとうみょう)
- 【 守破離 】(しゅはり)
- 【 獅子吼 】(ししく)
- 【 寿老人 】(じゅろうじん)
- 【 正法眼 】(しょうぼうげ)
- 【 尽大地 】(じんだいち)
- 【 吹毛剣 】(すいもうのけん)
- 【 施無畏 】(せむい)
- 【 雪月花 】(せつげつか)
- 【 霜月夜 】(そうげつや)
- 【 大円覚 】(だいえんかく)
- 【 知無涯 】(ちはてなし)
- 【 泥中蓮 】(でいちゅうのはす)
- 【 鉄心肝 】(てっしんかん)
- 【 日月新 】(にちげつあらた)
- 【 仁者寿 】(にんじゃのじゅ)
- 【 破草鞋 】(はそうあい)
- 【 破沙盆 】(はさんぼん)
- 【 冰雪心 】(ひょうせつしん)
- 【 百錬剛 】(ひゃくれんのごう)
- 【 不動心 】(ふどうしん)
- 【 不老水 】(ふろうすい)
- 【 不老門 】(ふろうもん)
- 【 平常心 】(へいじょうしん)
- 【 無片雲 】(へんうんなし)
- 【 放下着 】(ほうげじゃく)
- 【 未徹在 】(みてつざい)
- 【 水滴滴 】(みずてきてき)
- 【 無功徳 】(むくどく)
- 【 無孔笛 】(むくてき)
- 【 無尽蔵 】(むじんぞう)
- 【 無情遊 】(むじょうのゆう)
【 一帯雲 】(いったいのくも)
《意味》
ひとかたまりの雲。雲は何物にも遮られることなく、大空を悠々として漂い、無心に通り過ぎるが、それはちょうど世俗のしがらみから解き放たれて、融通無礙、自由自在に生きる禅僧の理想の境涯と同じ。
【 一ニ三 】(いちにさん)
《意味》
当たり前のこと。言うまでもなく誰もが知っている道理をいう。
【 雨餘香 】(うよかんばし)
《意味》
雨上がりには、木々や草花が芳しく香り、美しさが際だっている。
【 我逢人 】(がほうじん)
《意味》
人と逢うことから全てが始まる。人と人との出逢いの尊さを三文字で表した言葉。
【 活人剣 】(かつじんけん)
《意味》
師が弟子の迷いを鋭く断ち切って起死回生させる働きを刀剣に例えたもの。逆に否定して許さない働きは「殺人刀」である。人を殺傷する刀剣も使い方しだいである。
【 雁一声 】(かりいっせい)
《意味》
秋の到来を告げる雁の一声。雁は常世の国の鳥で、魂を運んでくるものと考えられており、雁の一声は人々に懐かしいものであった。
【 看脚下 】(かんきゃつか)
《意味》
足元をしっかり見据え周囲に気をとられないよう。大切な教えを求めるのに、遠いところを探さずに身近なところをよく見なさいとの意。
【 閑古錐 】(かんこすい)
《意味》
「古錐」(こすい)、これは使い古されて先が丸くなってしまった錐(きり)の事。鋭く尖った錐がしたいに磨滅して、指で触れても怪我をしない様。それは、円熟して非常に味わいのある錐でもあり、豊かな人生経験を積んで、円熟味を増した老僧=「老古錐」(ろうこすい)とも言います。
【 帰去来 】(ききょらい)
《意味》
帰ることにしよう。迷いの世界、苦悩に満ちたこの世界を離れて、自己本来の安楽の境地に帰ろうという誘い。
【 喫茶去 】(きっさこ)
《意味》
「喫茶」(きっさ)とはお茶を飲む事。「去」(こ)とは去るではなく「行く」という意味。まあ一つお茶でも飲みに行こうじゃないかとと言う意味になる。何も言わないでまずお茶を召し上がれ、お茶を差し出す事。
【 旦古今 】(こうここん)
《意味》
古に亘り今に旦る、すなわち永遠に不変であることをいう。
【 黒漫漫 】(こくまんまん)
《意味》
辺り一面、真っ暗闇に覆われているさま。智慧の光が全く射し込むことのない、全く無知の状態。「漫漫」は広くはるかで際限のない様子。
【 主人公 】(しゅじんこう)
《意味》
実は私たち一人一人の主体性、人間性のことでもあり、その主体性が常にしっかりと確立し、人間性にはっきり目覚めていること、そがれ「主人公」であると言う事。
【 自灯明 】(じとうみょう)
《意味》
「師がなくなられたら、何を頼りに生きたらよいか」との弟子の問いへ釈尊の教え「自らを灯明とし、法を灯明とせよ」
【 守破離 】(しゅはり)
《意味》
最初は師の教えを守り、自分の個性を創造したのちに、師から離れて自立すること
【 獅子吼 】(ししく)
《意味》
獅子が吼えること。仏が衆生に対して真実の教えを説くことによって、誤った考えを持つ異教徒たちを怖れさせる事を、獅子が吼えて多くの獣を震え上がらせるさまに例えた語。
【 寿老人 】(じゅろうじん)
《意味》
寿星。南極星が神格化されたもので、神仙の一人(七福神の一神)として長寿の象徴である。
【 正法眼 】(しょうぼうげ)
《意味》
正しい仏法を見る眼。真実のあり方をはっきりと映し出す智慧の眼。
【 尽大地 】(じんだいち)
《意味》
天地いっぱい、至るところの意。
【 吹毛剣 】(すいもうのけん)
《意味》
ふわふわと落ちてくる毛を真っ二つにすほどの実に切れ味の鋭い剣のこと。
【 施無畏 】(せむい)
《意味》
何物をもおそれない力を与えること。さまざまなおそれを取り除いて、安心させること。
【 雪月花 】(せつげつか)
《意味》
雪と月と花。四季の移り変わりの中の自然の美の総称の意味。
【 霜月夜 】(そうげつや)
《意味》
霜が降りる月の夜。寒夜、一面に降りた霜が月光でキラキラと輝く風景。
【 大円覚 】(だいえんかく)
《意味》
全く欠けることなく円満で完全な最高の悟り。「覚」は真実に対して目覚めていること、仏法の真髄について目が開けていること。
【 知無涯 】(ちはてなし)
《意味》
知識は無限である。必要以上の知識はいらない。
【 泥中蓮 】(でいちゅうのはす)
《意味》
蓮は泥中でも汚れに染まらず美しい花を咲かせる。(世俗の迷妄に汚されず清くあり続ける人)
【 鉄心肝 】(てっしんかん)
《意味》
「心肝」は精神のこと。ゆるぎない心。鉄のような精神を持っている人。
【 日月新 】(にちげつあらた)
《意味》
すべてが新しくなる。自分もまた日進月歩といきたいが、日々老いに向かっていくのみ。しかし心だけは、常に新鮮でありたいもの。決意の言葉ともいえる。
【 仁者寿 】(にんじゃのじゅ)
《意味》
「仁者」とは、道徳の完全に備わった人のこと。「寿」とは、命が長いという意味ですが、長生きをするという時間的なものではなく、自分の命をまっとうするということ。人生の時間が長い短いということではなく、一つのことを一生懸命、全力でやることによって、すべてのことが整い、人道的な徳が備わるということ。
【 破草鞋 】(はそうあい)
《意味》
草鞋はわらじのことで、古くなって使い物にならないわらじ。「破沙盆」と同じく役に立たないもの。わらじが破れるほど行脚をして修業をつんだ禅僧の形容にも使われる。
【 破沙盆 】(はさんぼん)
《意味》
壊れたすり鉢。役に立たない無用物の例えとされるが、禅語としては、人を圧する鋭さや俊敏さが影をひそめた、円熟した悟りの境地。
【 冰雪心 】(ひょうせつしん)
《意味》
氷や雪のように真っ白で清らかな心。
【 百錬剛 】(ひゃくれんのごう)
《意味》
何度も鍛えあげられた強靭さ、動じない強い意志をいう。
【 不動心 】(ふどうしん)
《意味》
何ものにも動かされることのない強い心。妄想煩悩に惑わされず動揺しない心。不動とは動かないことではないとし、無念無想にて自主自在に動くことのできる心が不動心である。
【 不老水 】(ふろうすい)
《意味》
服せば年老いることのない霊水。霊山から湧き出る清水に不老水と名づけられるものは多い。
【 不老門 】(ふろうもん)
《意味》
「門」とは仏門であり、仏の法(真理)を悟れば、生老病死を脱するという。老いるのを嫌えばかえって老いにとらわれる、枯れ行くままに、あるがままを受け入れることができれば、不老の門に入ったことになる。
【 平常心 】(へいじょうしん)
《意味》
普段と変わらない心。揺れ動くことのない心理状態
【 無片雲 】(へんうんなし)
《意味》
雲は煩悩にたとえられる。一片の雲もなく、綺麗に晴れあがり、心も爽やかに無心であること。少しの煩悩もなく、身心共に清浄。
【 放下着 】(ほうげじゃく)
《意味》
なんだって捨ててしまいなさい。捨ててこそ本来の立場がくっきり浮かぶ。捨てても生きられる人こそ本物。
【 未徹在 】(みてつざい)
《意味》
まだ徹していない。まだ不充分、修行によって得られた力がまだ足りなく、まだ及第点に達していないと見なされた時、師から弟子に向かって発せられる言葉。
【 水滴滴 】(みずてきてき)
《意味》
水が滴るさま。一滴の水もやがて大河となり海となる。また、水の雫も大河も水に変わりないという意味。
【 無功徳 】(むくどく)
《意味》
梁の武帝が「寺を建立し、僧を育てた私にはどんな功徳がありますか」という問いに対する達磨大師の返答。功徳を求めてはいけません。見返り果報を求めずに行うのが善行・功徳であるとの教え。
【 無孔笛 】(むくてき)
《意味》
穴のない笛のこと。音が出ないこと、「無」の境地になることは禅の道につながります。
言葉を超越したところにある無上の説法。常識にたらわれない優れた説法。
【 無尽蔵 】(むじんぞう)
《意味》
いくら取り出しても尽きることのない財宝を収めた蔵に例えて、大自然=真理の世界には、どんなに楽しんでも尽きることがない一切万物が無限に収まっている様を表している。徳や才能が限りないこと。
【 無情遊 】(むじょうのゆう)
《意味》
情を交わすことのない自然世界との付き合い。世俗を離れた友情。
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